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海外でのリモートワークの現状
感染症の流行や働き方改革によって日本国内でもリモートワークは1つの働き方として認知されるようになりました。
しかし、諸外国と比較するとリモートワークの普及率はまだまだ日本では低いのが現状です。
では、どうして海外では以前からリモートワークが日本以上に普及していたのでしょうか?
今回は各国のリモートワークの事例、日本でのリモートワーク導入にあたっての課題などについてご紹介していきます。
各国のリモートワークの事例
ここでは各国のリモートワーク事例をご紹介します。
1.アメリカ
アメリカは諸外国の中でもリモートワークの普及率が高い国として有名です。
アメリカ国内で働く方の内およそ35%の人が常時リモートワークで仕事をしているとされています。
アメリカでのリモートワークは1990年代から徐々に普及していきました。
そして2010年には「リモートワーク推進法」が連邦政府によって制定され、企業に対してリモートワークの導入が義務付けられるまでになりました。
ここまでリモートワークが普及したのには、アメリカの企業体制にポイントがあります。
以前から企業体制を守るために、業務を分担する体制がアメリカでは一般的でした。
業務が細かく分担されているため、リモートワークを導入しやすい環境がすでに整っていたというのがアメリカでリモートワークがここまで普及している一番のポイントです。
2.フランス
フランスでは働き方の多様性が国によって保証されていることで有名です。
1998年には「週35時間労働制」が制定されました。
結果としてリモートワークだけではなく、時短勤務など働く方の意見を尊重するためにさまざまな働き方があります。
しかしリモートワークの普及率は15%程度とアメリカなどと比較するとそこまで高い数字ではありません。
しかし、感染症の流行などの影響もあり、働き方改革が推進されているため、今後ますますリモートワーク普及率は上昇していくことが予想されています。
3.イギリス
イギリスではヨーロッパ諸国では珍しく、リモートワークを推奨するための法律が制定されている国になります。
「フレキシブル・ワーキング法」によって、リモートワークのみならず、労働者が自身の働き方を自由に選ぶことができる権利が保証されているためです。
リモートワークの普及率は40%前後となっており、世界的に見るとアメリカに次いで2番目に高い数字になっています。
4.北欧諸国
北欧諸国では冬が長く働く時間に制限があることも影響して、早くから時短勤務やリモートワークが普及していた地域です。
デンマーク、スウェーデン、フィンランドはそれぞれ20%前後のリモートワーク普及率になっています。
しかし、北欧諸国は農業や漁業が主要な産業となっているため、IT業界などをはじめとした第3次産業の割合が低いため、アメリカ等と比較するとリモートワーク普及率は低くなっています。
しかしながら人口当たりに換算するとアメリカと同等の高さになっています。
日本でリモートワークを導入する際の弊害
ここまでは諸外国のリモートワーク事例についてご紹介してきました。
法律によってリモートワークが保証されている国や、環境が起因してリモートワークが普及した地域などさまざまな要因がもとになって諸外国ではリモートワークが普及したといえるでしょう。
今後も日本ではリモートワークが普及していくと想定されますが、日本のビジネス文化の中にはリモートワークの弊害になると予想される要因が多くあります。
1.ハンコ・紙が多く使用されている
システムやビジネスアプリケーションの導入によってデジタルトランスフォーメーションを推進している企業が感染症の流行によって多くなりました。
しかしながらまだまだ大多数の企業ではハンコや紙が中心となっている現状です。
こうしたレガシー文化からの脱却を社会全体で脱却することさえできれば、今までとは比較できないスピードでリモートワークが普及していくことでしょう。
地域によっては業務の電子化に補助金などを提供してデジタルトランスフォーメーションを推進させようとした動きもあるので、リモートワークの導入を検討していく企業が増加していくことでしょう。
2.リモートワークができる環境が整っていない
最近ではZoomなどのビデオ会議アプリケーションを利用する企業も増えてきましたが、まだまだこうしたアプリケーションやチャットアプリが整っていない企業も多くあります。
また、企業によっては社内システムが社内ネットワークだけでしか利用できないケースもあり、こうしたソリューションの改革も必要になるケースもあります。
3.成果主義ではなく年功序列であること
日本はまだまだ年功序列の制度が根強いという点もリモートワークを導入する際の弊害になってしまうでしょう。
リモートワークを導入するためにはある程度の裁量を個人に与えること、個人個人の成果を評価することなどが求められます。
リモートワークでは会社一丸となって同じことをするのではなく、個人個人が考え個別の案件に対して成果を上げていくことができる環境づくりも大切になってきます。
最後に
今回は諸外国のリモートワークの事例、日本でのリモートワーク普及にあたっての弊害についてご紹介してきました。
法律でリモートワークを推進するような国がある反面、日本ではリモートワークの弊害になりうる文化が多数あることがわかっていただけたのではないでしょうか?
日本では高齢社会に突入しており、労働者を安定的に確保することも以前と比べると難しくなってきています。
リモートワークを導入することによって、労働者が新たな働き方を選択できることはもちろん、企業としてもさまざまな人材を確保しやすくなるなどのメリットもたくさんあります。
リモートワークを導入するにはシステムやアプリケーションを効率よく利用し、業務を改革していくことも求められます。
システムやアプリケーションを利用した業務改革には地方自治体が補助金を出していることも多いですので、補助金を上手く活用してリモートワークを推進していくことをおすすめします。